• 134 日本の営業における質問と提案のバランス
    Feb 1 2026
    日本の営業における質問と提案のバランス 日本の営業で案件が進まない原因は、「提案の中身」よりも「提案する順番」がズレていることが少なくありません。早すぎる提案はリスクを増やし、質問だけでは前に進みません。ここでは、複数回商談が前提になりやすい日本の意思決定に合わせて、質問と提案をどう配分し、信頼を積み上げるかを、デール・カーネギーの原則とエピソード#134の要点に沿って整理します。 Q:なぜ日本の営業は「質問」と「提案」が別の会議になりやすいのか? 日本では、一度の商談で営業プロセス全体を完遂することは多くありません。最初は質問モデル(状況整理・課題特定・成功条件の合意)まで進め、解決策の提案や提案書提出は次回の会議で行うことが一般的です。その後に異議対応を経て契約締結へ進みますが、契約は即決ではなく、社内の意思決定プロセスに入るケースが多くあります。意思決定には多くの関係者が関与し、時間がかかります。目の前の相手は最終決裁者ではなく、推進役(社内調整のハブ)であることも多く、外部から急かしても効果が出にくいのが現実です。ミニサマリー:日本では、まず質問で整理し、次に提案で固める流れが、社内合意とリスク管理に適合しやすい。 Q:最初の「質問の会議」で、何を達成すれば次回の提案に繋がるのか? 目的は「質問で勝つ」ことではなく、「提案してよい状態」を作ることです。意図ある質問で、(1)課題の本質、(2)放置した場合の影響、(3)望ましい成果、(4)意思決定の構造(誰が関与し、どんな懸念が出て、どう稟議が進むか)を可視化します。最後に、相手が「この人は分かっている」と感じる言葉で要約し、次回提案の必然性を作ります。デール・カーネギーの原則(相手への誠実な関心、深い傾聴、相手のニーズで語る)を、商談設計として徹底することが、日本では強い信頼シグナルになります。ミニサマリー:初回は、課題・成果・関係者・プロセスを整理し、「理解の要約」で提案会議への道を開く。 Q:稟議(課長→部長→取締役…)を想定した「通る提案書」とは? 多くの企業では、提案が稟議の流れで回覧されます。つまり提案書は、あなたがいない場で読まれ、社内で説明され、比較されます。提案は"その場の説得"ではなく、"社内で通る設計"が必要です。実務のポイント: · まず適合確認:お客様のニーズと自社ソリューションが合致していることを、提案の冒頭で明確にする。 · 完成度の高い提案書:範囲、スケジュール、成果物、リスク対応、期待効果を具体化し、社内で回しても誤解が生まれないレベルにする。 · 比較される前提で設計:他社より価格が高くても、品質と確実性に納得できる論拠(再現性・体制・進め方)を用意する。ここで築かれるのは、「約束した成果を達成できる」という信頼です。ミニサマリー:提案書は社内回覧で戦う"武器"。明確・具体・比較耐性・リスク配慮で、推進役が上に説明しやすい形にする。 Q:競合が安いとき、価格ではなく価値でどう勝つ? 日本企業は失敗を嫌い、新しいものを試すリスクを避けたい傾向があります。その環境では「安い=安全」ではなく、「安い=不安」になり得ます。価格で押し合うより、確実性(どう進め、どうリスクを潰し、どう成果に到達するか)を示し、安心を提供することが重要です。そのためには、提案者が自信を持ち、知識と信念で説明をリードする必要があります。ミニサマリー:価格競争ではなく、再現性・リスク管理・成果への確信で"安心"を提供し、価値を守る。 Q:「自信あるプレゼン」とは何か?資料に頼らず信頼を得る方法 提案会議は、資料を読む場ではなく、信頼を確定させる場です。資料に頼らず即座に詳細を説明できることは、プロジェクト理解の深さと、過去の実績から得た知見を持っている証拠になります。構造的に説明し、想定質問に落ち着いて答え、進め方の根拠を示す。これが「失敗したくない」組織の不安を下げ、契約締結に近づけます。ミニサマリー:自信=理解の深さ。構造的に語り、即答できる状態...
    Mostra di più Mostra meno
    5 min
  • 133 リーダーシップの指針 パート2
    Jan 14 2026
    「部下を尊重しているのに、なぜかチームの温度が上がらない」「頑張っているはずなのに、成果につながらない」その原因は、才能よりも日々の"扱い方"——敬意、称賛、目標、優先順位、そしてエネルギー管理にあることが少なくありません。デール・カーネギーの原則(世界的に権威あるリーダーシップ/セールストレーニング)にも通じる、実践的な指針をまとめます。 Q:なぜ「本当の敬意」がモチベーションの土台なのに、成果が伸びないことがあるのか? 敬意は「優しくすること」と同義ではありません。上司が部下を尊重していても、現実にはチームの80%が平均的〜低パフォーマンスという状況は起こり得ます。背景には、期待値の曖昧さ、評価基準の不透明さ、フィードバック不足があります。特に日本企業では、暗黙の了解や年次の空気感が"正しい評価"を難しくし、結果的に関係を悪化させることがあります。デール・カーネギーの「誠実な称賛」は、フェアで筋の通った評価とセットでこそ信頼を育てます。 ミニまとめ:敬意は「公平さ」と「明確さ」を含む。称賛だけで評価が曖昧だと、信頼を損ねます。 Q:人はお金のために働く。でも努力の源は何か? 給与は"最低条件"であり、やる気のエンジンになり続けるとは限りません。日々の努力を引き出すのは、「認められ、称賛されること」です。東京の法人営業や、決裁プロセスが複雑なプロジェクトでは、努力が見えにくく、報われにくい場面も多いものです。だからこそ、具体的に伝えることが重要です。「何をしてくれたか」「なぜ価値があるか」「どんな影響が出たか」まで言葉にしましょう。 ミニまとめ:給与は土台、称賛は推進力。具体的な承認が"もう一段の努力"を生みます。 Q:間違いへの向き合い方で、リーダーの信頼はどう変わる? 完璧な人間はいません。だからこそ、間違いをすぐに認めるリーダーは尊敬されます。上司が誤りを認める姿勢は、チームに心理的安全性をつくり、報連相や改善提案が出やすくなります。批判は慎重に。人ではなく「事実」と「行動」に焦点を当てること。一方で、同じミスを繰り返す人は問題です。本人の学習、プロセス、能力、姿勢のどこに原因があるかを見極め、必要な手当てを行いましょう。 ミニまとめ:早く認め、慎重に指摘し、繰り返しミスは構造的に扱う。 Q:目標はどう設定すると、やる気と成果が生まれる? 目標は「明確で、チャレンジングで、現実的」であることが重要です。現実的とは"楽"ではなく、「経験やデータに基づいた根拠がある」こと。案件数、成約率、リードタイム、稼働など、数字の裏付けがある目標は納得感を生み、主体性を引き出します。デール・カーネギーが重視する"協力を得る"ためにも、筋の通った目標設計が不可欠です。 ミニまとめ:根拠ある目標は、納得とコミットを生みます。 Q:混乱や危機でも「大局」を見失わないためのコツは? リーダーには、大局を見失わずに進む覚悟が必要です。混乱時ほど、緊急対応に追われがちですが、成果を左右するのは「重要だが緊急でないこと」です。人材育成、仕組み化、顧客戦略、部門間連携——これらに時間を投資できるかどうかが差になります。おすすめは、週に一度でも戦略時間をカレンダーに"固定"して守ることです。 ミニまとめ:緊急に流されない。重要だが緊急でない領域に、意図して時間を使う。 Q:高いパフォーマンスに、なぜ仕事と私生活のバランスが必要? 高いパフォーマンスには、仕事と私生活のバランスが不可欠です。健康とリフレッシュは、アイデアと持続力を生みます。ビジネスは短距離走ではなくマラソン。燃え尽き前提の設計は、組織を弱らせ、離職や品質低下を招きます。リーダー自身が休息を取り、チームにも回復の文化をつくりましょう。 ミニまとめ:回復は贅沢ではなく投資。持続可能な成果は、持続可能なエネルギーから生まれます。 Q:ネガティブに引きずられず、立ち上がり続けるには? 失敗や混乱が続くと、空気は簡単に暗くなります。だからこそ「七転び八起き」の精神——学び、立て直し、また動...
    Mostra di più Mostra meno
    5 min
  • 132 日本のテック系スピーカーはもっと助けが必要
    Dec 17 2025
    日本のテック系カンファレンスには、優秀な教授やエンジニアが数多く登壇します。しかし、会場を後にするビジネスリーダーの多くは、「すごい内容なのは分かる。でも正直、よく分からなかった」と感じています。重要なタイムラインが読めず、フォントが小さく、スライドが情報で埋め尽くされていると、日本企業や外資系企業の有能な意思決定者でさえ、何が重要なのかをつかみきれません。本記事では、退官した大学教授の講演という実例をもとに、高度な技術テーマを「分かりやすく、記憶に残るストーリー」に変える方法を整理します。グローバルなリーダーシップ・セールストレーニングのリーダーであるデール・カーネギーの原則に基づき、日本のテック系スピーカーが「専門性への尊敬」だけでなく、「実際のビジネス意思決定への影響力」を獲得するためのポイントを解説します。 なぜ優秀な専門家ほど、非専門の聴衆を置き去りにしてしまうのか? ある技術系カンファレンスで、退官した大学教授が最新技術について講演しました。研究者としては世界レベルと言ってよいほど優秀でしたが、聴衆の多くは同じような学術的バックグラウンドを持っていません。その結果、数分もしないうちに多くの参加者が「ついていけない」状態になってしまいました。特に問題だったのは「将来ビジョン」を示すタイムライン・スライドです。技術の発展プロセスを年表形式で示した極めて重要なスライドでしたが、デザインは美しいものの、フォントは小さく、色が多すぎ、構成も複雑でした。聴衆から見ると「何が書いてあるのかほとんど読めない」状態で、本来伝えたかったメッセージはまったく届いていませんでした。これは典型的なパターンです。専門家は、自分の研究やモデル、データに強い愛着を持っています。一方で、「分かりやすく伝える」ことは後回しになりがちです。R&D主導の日本企業や高度に専門化した外資系企業では、「エンジニアは情熱的だが、聴衆は点と点をつなげられない」というギャップが頻繁に起こります。デール・カーネギーの原則で言えば、「相手の関心事の立場から話す」ことができていない状態です。教授は自分の頭の中のモデルから話しており、経営企画、営業、事業責任者などが「どう理解し、どう意思決定すべきか」という視点が抜け落ちていました。 Mini Summary: 専門家が非専門の聴衆を失う最大の理由は、「自分の視点」で話し、「相手の視点」に立っていないことにあります。どれほど優れた研究でも、聴衆の世界に翻訳されなければ存在しないのと同じです。 技術系スライドの「よくある間違い」とは? 多くの日本のテック系スピーカーは、「知っていることをすべて1枚のスライドに詰め込む」という同じ失敗をします。複雑なタイムラインを1画面に押し込み、長年の研究成果や膨大なデータを、1枚のスライドにギュッと詰め込もうとしてしまうのです。先ほどの教授のタイムライン・スライドもまさにその典型でした。技術の未来ロードマップを一望させようとした結果、フォントは極端に小さく、色の種類も多すぎて、情報が「ごちゃごちゃした模様」にしか見えません。東京の本社で意思決定を担う役員や、法人営業のマネジャー、経営企画のメンバーが参加している場で、これは非常に大きな問題です。スライドが読めなければ、「投資すべきか」「リスクは何か」「どこにチャンスがあるのか」といった戦略的メッセージは決して相手に届きません。より良い方法は、タイムラインを複数枚に分割することです。最初のスライドでは全体像をシンプルに示し、次のスライドで重要な期間(例えば今後12〜24カ月)だけを大きなフォントと少ない色で拡大表示します。あるいは、全体のタイムラインを薄く背景に残したまま、注目すべきセグメントだけをスポットライトのように強調してもよいでしょう。詳細な情報は、配布資料やレポートに任せ、プロジェクター画面には「本当に伝えたい要点」だけを映すべきです。デール・カーネギーの観点からも、スライドは「会話を支える道具」であるべきです。1...
    Mostra di più Mostra meno
    7 min
  • 131 取引が本物かどうかを見分けるには?
    Dec 3 2025
    BtoB営業において、最もストレスが大きいのは、「これはいける」と信じて時間と労力をかけた案件が、最終的に一件も決まらないことです。特に日本企業や外資系日本法人の複雑な決裁プロセスの中では、「この取引は本当に動いているのか、それとも幻想なのか」を見極めるのが非常に難しくなります。 営業の現場では、「出会う見込み客の3分の1は決して買わない、3分の1は将来的には買う可能性があり、残りの3分の1は条件が整えばすぐにでも買ってくれる」という感覚則があります。問題は、最初の面談の段階では、そのどのタイプなのかがほとんど分からないことです。だからこそ、日本の決裁プロセスを理解し、正しい質問で案件を見極める力が、プロフェッショナルには不可欠になります。 見込み客にはどんなタイプがあるのか? 多くの法人営業の現場で出会う見込み客は、大きく3つのグループに分けられます。「絶対に買わない人」「今は買わないが、将来的に可能性がある人」「条件が揃えばすぐにでも買う人」です。厄介なのは、この3つのタイプが見た目ではほとんど区別できないことです。誰もがフレンドリーで、前向きで、「興味があります」と言ってくれます。 この不確実さが、営業担当者を「過投資」に追い込みます。「ノー」と言われても引き下がれず、「いつかイエスになるかもしれない」と信じて話し続けてしまう。15分の予定だったミーティングが、気づけば90分になっている。終わった後も、「決まるのか、決まらないのか」モヤモヤを抱えたまま帰社することになります。 実際の営業プロセスは、未知のジャングルに入っていくようなものです。表面だけの好意、予算も権限もない相手、社内政治で止まってしまう案件など、あちこちに罠やぬかるみが隠れています。そこで重要になるのが、「この人はどのタイプなのか」「この案件はどの程度リアルなのか」を早い段階で見極めるための判断軸です。 デール・カーネギーの原則で言えば、「相手の立場に身を置いて物事を考える」ことから始める必要があります。こちらの提案を押し込むのではなく、相手企業の制約条件―予算サイクル、本社の影響力、他部門からの抵抗―を丁寧に聞き出し、それを基準に案件を評価していく。表面的な「好印象」ではなく、実際の制約を理解することで、取引が本物かどうかをより正確に判断できるようになります。 ミニまとめ:出会う見込み客は、「絶対買わない」「いつか買うかもしれない」「すぐにでも買う」の3タイプに分かれます。違いを見抜くには、表面的な好意ではなく、企業の制約や状況を丁寧に聞き出すことが重要です。 なぜ「決裁者」を見誤ると、永遠に決まらないのか? 日本企業や外資系日本法人で特に注意が必要なのは、「見えている権限」と「本当の権限」が一致していないケースです。肩書としては社長やカントリーマネージャーであっても、実際の決裁権は本社のCFOや人事、あるいは親会社から派遣された役員が握っていることが少なくありません。 例えば、大手日本企業に買収された会社の外国人社長と昼食を取りながら、営業力強化のための研修導入について盛り上がったとします。社長は非常に前向きで、「ぜひやりたい」「うちの営業を変えたい」と熱く語ってくれる。営業側から見ると、これは「かなり確度の高い案件」に見えます。 しかし、その裏側で、親会社から派遣された日本人CFOが、予算と最終決裁をほぼ一手に握っているとしたらどうでしょうか。研修方針、投資の優先順位、ベンダー選定などは、実質的にこのCFOの判断で決まっている。ここに気づかないまま、「社長はやる気だ」と信じてフォローを続けても、案件はいつまでも前に進みません。 このケースが示しているのは、「買収・合弁・持分法適用」といった本社主導の構造がある場合には、必ず「本社から誰が来ているのか」「その人はどこまで決裁できるのか」を確認する必要があるということです。表面的な熱意や肩書きに頼るのではなく、稟議フロー、予算権限、リスクを負う人は誰か――という視点で、真の決裁者を見極めていきます...
    Mostra di più Mostra meno
    5 min
  • 130 リーダーシップの指針 パート1
    Nov 20 2025
    多くの日本企業や外資系企業の日本拠点では、成果を上げたマネジャーが昇進し、突然「リーダー」になります。しかし、そのタイミングで「人をどう導くのか」という地図はほとんど渡されません。本や研修、ポッドキャスト、上司やメンターからのアドバイスはあるものの、「結局、月曜日の朝から何を変えればいいのか?」と悩む方は少なくありません。 本記事では、100年以上にわたり世界中でリーダーシップとセールスの研修を提供してきたデール・カーネギーの原則に基づき、日々の部下との対話や顧客対応、経営層とのやり取りの中で使える「リーダーシップの指針」を7つに整理しました。世界的に知られる16の原則のうち前半パートとして、日本のビジネスプロフェッショナル向けにお届けします。 Q1. なぜ優れたリーダーは「弱み」ではなく「強み」から始めるのか? 日本の組織では「課題」「反省点」「できていないこと」に焦点を当てる文化が根強くあります。評価面談や1on1が、気がつけば"ダメ出しリスト"になってしまうことも少なくありません。しかしポジティブ心理学の研究や、デール・カーネギーが長年実践してきた経験からも、持続的な成長は「弱点矯正」ではなく「強みの自覚」から始まることが分かっています。 メンバーに対して「自分は何が得意なのか」「この四半期、どこで一番価値を出したのか」を一緒に言語化していくと、自信が生まれます。その自信こそが、新しいチャレンジや行動変容に踏み出すエネルギーになります。失敗が許されにくい文化だからこそ、「できていること」を土台にすることが重要です。 例えば、東京の法人営業チームであれば、「どの商談がうまくいったのか」「事前準備で何が効いたのか」「その強みを他の重要顧客の決裁プロセスにどう展開できるか」を一緒に振り返ることができます。 これはデール・カーネギーの「心から、誠実にほめる」という原則とも一致します。問題を無視するのではなく、まず強みを認めることで、建設的な対話の土台をつくるのです。 ミニまとめ:フィードバックやコーチングの前に、具体的な成功体験や強みを一緒に確認しましょう。自信が生まれ、課題や新たな目標とも向き合いやすくなります。 Q2. なぜ「信頼」があらゆるコミュニケーションの基盤になるのか? リーダーにとって信頼は「あると良いもの」ではなく、すべてのコミュニケーションのインフラです。信頼がなければ、どれだけロジカルな提案や美しい資料を用意しても、人は動きません。 信頼は、「公平であること」と「言ったことを、言ったとおりに、言ったタイミングで実行すること」の積み重ねで築かれます。日本企業では、同じような顧客に対して説明なく価格差があったり、人事評価の基準が突然変わったりといった"小さな不公平感"に、社員は非常に敏感です。こうした不整合が少しずつ、目に見えない「信頼残高」を減らしていきます。 デール・カーネギーが重視してきたのは、言葉よりも行動の一貫性です。「金曜日までに共有します」と約束したことを何度も守れないリーダーは、どれだけ人前で上手く話しても、やがて信頼を失います。一方で、コスト削減や採用凍結といった厳しいメッセージであっても、誠実かつ一貫した説明があれば、人は納得しやすくなります。 ミニまとめ:信頼は、公平さと約束を守る姿勢から生まれます。小さなコミットメントもすべて、「信頼残高」を増減させる要素になります。 Q3. 現代の組織で、人を本当に動かすモチベーションとは? いまだに多くのマネジャーが、給与やインセンティブ、上からのプレッシャーといった「外発的動機づけ」に頼りがちです。しかし仕事が複雑化し、リモートやハイブリッドが当たり前になる中で、「やれ」と言われて本気で動く人はほとんどいません。真のモチベーションは内面から生まれます。 例えば、外資系企業で働く若手は、「急成長」「グローバルな経験」といった価値観を重視するかもしれません。一方、大手日本企業のミドル層は、「安定」や「社会への貢献」を重んじる場合もあります。KPIや締め切...
    Mostra di più Mostra meno
    5 min
  • 129 人前が苦手
    Oct 8 2025
    最初に結論です。少人数は「精密に近く」、大人数は「拡張して遠く」。この切り替えができれば、どんな会場でも説得力は再現できます。 Q1. 少人数(会議室・打合せ)では何を最優先にすべき? · 座らず立つ:身体が使え、緊張がほぐれ、信頼感が上がる。主催者に着席を促されても、基本は立って話す。 · 6秒アイコンタクト:1人につき約6秒。短いと浅く、長すぎると負荷。ジェスチャーは小さめ・精密に。 · 価値から逆算:参加者の業務・意思決定者・導入後の運用負荷まで把握して構成する。 〈ミニサマリー〉 立つ × 6秒 × 精密 = 親密さと納得感が同時に立ち上がる。 Q2. 大人数(ホール・階層席)で"自分ごと化"させるには? · 常に1対1で話す意識:会場を6セクター(左・中・右 × 前後/階層)に仮想分割。 · "特定の1人"に話す:セクター内の1人に語りかけると、周囲30人へ波及。視線は順番ではなくランダムに跳躍。 · 声は張らず、身体で遠達性:ジェスチャーは大きく明確にし、エネルギーを最後列まで届ける。 〈ミニサマリー〉 6セクター × 1対1 × ランダム視線 = 巨大空間でも「自分に話している」感を生成。 Q3. 伝わる動線設計――L-C-Rムーブの使い分けは? · L-C-R(Left・Center・Right)に"意味づけ"して定点化。無目的な往復はしない。 · 近接の瞬間を作る:前方通路や張り出しがあれば近づいて親密さを注入。 〈ミニサマリー〉 定点=要点。動線は"強調装置"。 Q4. 事前計画で再現性を作るには? · 会場図 → 停車位置 → 視線配当 → 質疑まで台本化。準備が最大の武器。 〈ミニサマリー〉 計画=再現性。偶然に頼らない。 Q5. よくある失敗は? · 大規模で全体に向けて曖昧に話す(→誰にも刺さらない)。1人に届けるつもりで。 · 少人数でオーバーアクション(→圧になる)。精密・小さめに。 FAQ · Q. 緊張で視線が泳ぎます。最初の1分は? A. 近距離は6秒で固定、遠距離はセクター内の1人を捕まえる。 · Q. 声量はどのくらい? A. マイクが拾うので叫ばない。身体でエネルギーを後方へ。 · Q. 動くタイミングは? A. 要点ごとにL-C-Rを固定し、移動=章立ての合図に。 まとめ · 少人数=立つ/6秒/精密 · 大人数=6セクター/1対1/ランダム視線 · L-C-R動線+事前計画で、説得力は再現できる デール・カーネギー・トレーニングは、1912年創設。日本では1963年より、リーダーシップ/セールス/プレゼンテーション/コミュニケーション/エグゼクティブ・コーチング/DEIの分野で個人・企業の成長を支援しています。ビジネスプロTV(隔週木曜:動画+音声)/ビジネス達人の教え(隔週火曜:音声)。公式サイト:www.dale-carnegie.co.jp
    Mostra di più Mostra meno
    8 min
  • 128 成功する営業担当者には計画がある
    Sep 12 2025
    成功する営業担当者にはなぜ計画が必要なのか?

    多くの企業は高額なツールやサブスクリプションを導入しているにもかかわらず、それを十分に活用できていません。情報は頭の中やメモ、バラバラのノートに留まり、営業活動に活かされないのが現実です。営業担当者にとって、計画と記録の徹底が成果を左右します。

    要点: ツールを持つだけでは成果は出ない。使いこなす計画力が必要。

    なぜ会話の記録が重要なのか?

    営業担当者は人と話すのが得意でも、その内容を記録に残すことは疎かになりがちです。しかし「最もかすかなインクは、どんな優れた記憶よりも確実」です。面談後には必ずメモを取り、CRMなどのシステムに入力して共有可能にすることで、成功事例の宝庫となります。

    要点: 記憶に頼らず必ず記録する。これが営業の資産になる。

    効率的なスケジューリングの秘訣は?

    面談スケジューリングは計画の弱点になりがちです。地理的にまとめて訪問することで移動のロスを最小化できます。さらに、見込み客リストを活用し、優先順位をつけた時間管理を徹底することで、最も生産性の高い活動に集中できます。

    要点: 移動効率と優先順位が営業成果を大きく左右する。

    見込み客リストはどう作るのか?

    日本では顧客リストを簡単に購入することはできません。ウェブサイトからのリード、広告、既存顧客、紹介、電話問合せ、コールドコールなど、多様なソースを駆使してリストを作成する必要があります。さらに、電話をかける際は担当者名を把握していなければ"門番"に遮られます。名前を知ることがアポイント獲得の第一歩です。

    要点: リスト作りは地道なリサーチと努力が不可欠。

    行動を数値化すると何が見えるか?

    営業活動では、何人に連絡し、何人と話し、何件アポを取り、何件成約に至り、その平均単価がいくらかを数値化することが重要です。これにより、自分に必要な行動量が明確になり、再現性のある成功パターンを築くことができます。

    要点: 成功の比率を把握し、行動を計画的に積み重ねる。

    まとめ

    · 記録を残すことで営業活動が資産化する

    · スケジューリングと優先順位で成果が最大化する

    · 行動を数値化して成功の再現性を高める

    デール・カーネギー・トレーニングは、1912年に米国で創設され、100年以上にわたり世界各国でリーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、コミュニケーション、エグゼクティブ・コーチング、そしてDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の分野で個人および企業向けの研修を提供してきました。

    東京オフィスは1963年に設立され、日本企業および外資系企業、さらには個人の方々の成長もサポートし続けています。単なるスキルトレーニングではなく、組織文化の変革やリーダーとしての成長を後押しすることで、ビジネスの成果につなげます。

    私たちは毎週、日本語で役立つビジネス・コンテンツを発信しています。

    ビジネスプロTV:隔週木曜日配信(動画+音声)―リーダーシップ、営業、プレゼンテーションなどを深掘り。


    ビジネス達人の教え:隔週火曜日配信(音声のみ)―リーダーシップ、セールス、プレゼン力を鍛える実践知をお届け。

    👉 公式サイト:www.dale-carnegie.co.jp

    Mostra di più Mostra meno
    7 min
  • 127リーダーシップの本質的理解
    Aug 30 2025
    リーダーシップとは肩書きや権限ではなく、人の力を引き出し、組織を成長させる「関係性の技術」です。今日はその本質を4つの視点から考えていきます。 Q1: リーダーの本質とは「協力を引き出すこと」なのか? リーダーは権威や命令で人を動かすのではなく、協力を引き出す存在です。厳しい状況になると、つい強引になり、指示や通達ばかりに頼りがちですが、それでは人は本気でついてきません。リーダーに求められるのは、メンバーが「自分から動きたくなる」ように導く力です。上から押し付けるのではなく、内発的な動機を刺激し、共に前進できる関係をつくることが、本来のリーダーシップです。ミニサマリー:リーダーの役割は命令ではなく、協力を自発的に引き出すことにある。 Q2: リーダーの「人への姿勢」はなぜ組織文化を左右するのか? 心理学者マクレガーは「人の見方が組織文化を決める」と指摘しました。リーダーが部下の欠点ばかりを見れば、チーム全体が萎縮します。逆に、可能性や強みに目を向けるリーダーの下では、人は挑戦し成長します。もちろん、人は誰しも不完全で、恐れや欲を抱えています。だからこそ、ピンチのときに本当の姿勢が試されるのです。混乱の中で落ち着きを演じられる「演技力」もまた、リーダーの力です。偏見や感情を抑え、冷静に人と向き合えるかが、組織の未来を決定づけます。ミニサマリー:リーダーの人間観がチームの文化を形成し、挑戦や成長を可能にする。 Q3: 組織の目標と個人の目標はどう結びつけるのか? 理想的な組織は、全体の目標と個人のキャリア目標が矛盾せず共存している状態です。しかし現実には、リーダー自身の目標ばかり優先されがちです。優れたリーダーはメンバー一人ひとりの動機や目標を理解し、それを支える環境を整えます。この調整には時間もエネルギーも必要ですが、その努力こそが「人を育てるリーダー」を際立たせます。細やかな対話と粘り強い調整を通じて、組織と個人の目標をつなげたとき、チームは最大の力を発揮します。ミニサマリー:人を育てるリーダーは、組織と個人の目標を対話と調整で結びつける。 Q4: 失敗から人を育てるのはなぜ重要なのか? 成長もイノベーションも、失敗の繰り返しからしか生まれません。「反面教師」という言葉があるように、他人だけでなく自分の失敗からも学ぶことができます。大切なのは、自分の失敗には寛容で、部下には厳しいという二重基準を避けることです。叱るなら自分にも同じ基準を適用する。その誠実さが信頼を築きます。リーダー自身が「失敗ではなく学びだ」と捉えることで、部下にも挑戦の勇気を与えられるのです。ミニサマリー:失敗を学びに変える姿勢を示すことで、リーダーは信頼と挑戦文化を育てる。 Q5: リーダーは自分の「空気」を読めているか? 「空気を読む」という表現がありますが、リーダーに必要なのは場の空気だけでなく、自分自身の「内面の空気」を読む力です。焦りや不安を無意識に周囲へ伝えていないか? 今どんな気持ちでチームと向き合っているのか? こうした自己内省は、リーダーの大事な仕事の一つです。ミニサマリー:リーダーは自分自身の内面の空気を読み直すことで、チームへの影響を整える。 最後に:本質を忘れないために リーダーシップの4つの視点は一見当たり前のようですが、日常の忙しさの中でつい見失いがちです。だからこそ、立ち止まり、自分を振り返る時間を意識的に持ちましょう。厳しい状況ほど、この姿勢がリーダーとしての真価を決めるのです。 デール・カーネギー・トレーニングは、1912年に米国で創設され、100年以上にわたり世界各国でリーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、コミュニケーション、エグゼクティブ・コーチング、そしてDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の分野で個人および企業向けの研修を提供してきました。 東京オフィスは1963年に設立され、日本企業および外資系企業の皆さま、さらには個人の方々の成長もサポートし続けています。単なるスキルトレーニングではなく、組織文化...
    Mostra di più Mostra meno
    7 min