Episodi

  • EP. 705『@信楽 、其ノ二 - 茶粥・信楽・1200年』
    Oct 27 2026

    信楽で静かに味わいたい料理といえば、朝宮茶で炊いた茶粥。炊いたご飯にお茶を注ぐお茶漬けとは違い、お茶の香りとお米の優しさが溶け合う味わいです。信楽に近い朝宮は、最澄が唐から持ち帰ったされる茶の産地で、昼夜の寒暖差が大きく、霧に包まれる急斜面に茶畑が広がります。手間をかけて育てられる朝宮茶は、日本一高いと言われる高級茶。この茶粥を食べてきたのが、信楽焼の窯焚きをする人たち。長時間、熱い窯の前で重労働を続け、食欲が落ちた時にも、お漬物を添えた茶粥が体をいたわってくれます。器を作る土と、お茶を育てる土。同じ土地の長い時間が、一方では焼き物となり、一方ではお茶となる。華やかさはなくても、一口いただけば千二百年の時間が体に入ってくるようです。

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  • EP. 704『@信楽 、其ノ一 - 白いごはんのおいしさよ!信楽焼』
    Oct 26 2026

    滋賀県の信楽へ、お茶碗を買いに行きたくなりました。京都から草津、貴生川を経て、信楽高原鐵道で焼き物の町へ向かいます。信楽焼は鎌倉時代に始まった日本六古窯の一つで、古琵琶湖層の粘土を原料にしています。湖だった頃の記憶や、土と炎の力が器に込められているようで、心がひかれます。土の粒が見える薄緑色のお茶碗に白いご飯を盛ると、お米がきりっとして、湯気もいつもよりゆっくり立つ気がするんです。同じご飯でも、器が変わると味わい方まで変わるんですね。長い間、暮らしを支えてきた信楽焼の器でいただく一膳から、ありがたさや楽しさ、うれしさを、じんわり深く感じられるのではないかと思います。

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  • EP. 703『@只見町 、其ノ四 - 只見のお米はいろんな命に姿を変える』
    Oct 22 2026

    只見町では、お米はご飯だけでは終わりません。焼酎やウォッカにも生まれ変わります。米焼酎のブランド名は「ねっか」。地元の方言で「全く」「全然」という意味。焼酎造りで大量に出る酒粕にはアルコールが残っているため、再び蒸留してウォッカを造ります。さらに高知県産のゆずの皮を利用した「ゆずねっかウォッカ」も生まれました。アルコールを取り除いた酒粕は肥料として田んぼに還り、次のお米を育てます。雪解け水で育ったお米が姿を変え、再び土地の恵みとなる。その背景には、地域の人々が集まり、知恵を出し合い、子供たちにも食べ物の大切さを伝える暮らしがあります。

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  • EP. 702『@只見町 、其ノ三 - 只見のお米は奇跡です』
    Oct 21 2026

    只見町で今回宿泊したのは、只見町の前々町長、目黒さんのご自宅。目黒さんが一人で開墾したという美しい棚田を見せていただきました。木を切り、石を動かし、水路を引き、苗を植え、毎日田んぼを見守る。自然と向き合いながら米を作る農業の大変さと、食べ物に込められた深い思いを実感しました。目黒さんにとって米作りは楽しみであり、生きがいでもあるとのこと。「もし悩んだり苦しいことがあったら、ここに来て農業をやってごらん。悩みは吹き飛ぶから」と言われた言葉が心に残りました。

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  • EP. 701『@只見町 、其ノ二 - お魚いっぱい、自然がごちそう』
    Oct 20 2026

    只見町を訪れるならぜひ只見線で。只見町には「只見線が通ったら手を振ろう」という条例があり、列車が通ると住民が家から出てきて手を振ります。只見町は「自然首都」を掲げ、水とブナの森、雪とともに暮らす町です。巨大な田子倉ダムは高さ145メートル、貯水容量約4億9千万トン。ボートでダム湖の奥へ進み、渓流で泳ぐと、水の中にはたくさんの魚やエビが生息していました。夕食は焼肉。只見町の焼肉といえばマトンです。たっぷりのサラダは地元で「じゅうねん」と呼ばれるエゴマを使ったドレッシングでいただきます。夜は都会の騒音とは無縁の静けさに包まれ、カエルの鳴き声を聞きながら、朝までぐっすり眠りました。

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  • EP. 700『@只見町 、其ノ一 - ティータイムに芍薬、朝食には百合根』
    Oct 19 2026

    福島県の只見町は、山と川、田畑に囲まれた、どこか懐かしい町です。山道やトンネルを抜けるたびに緑が深くなって、都会の慌ただしさが少しずつ抜けていく。着くと、ふるさとに帰ってきたようにほっとするんですね。ここでは薬用の芍薬を約5年かけて育てています。根っこは漢方薬の原料に、摘んだ花は「只見の養生茶」というハーブティーになるんです。初夏には花摘みのボランティアもあるそうですよ。畑の隣にはピンク色のヒメサユリが咲いていて、翌朝にはほくほくのユリ根の煮物もいただきました。爽やかな空気を吸って、土地のお茶や食事を楽しむ。何日かゆっくり過ごすと、心も体もほぐれて、元気になれそうなところです。

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  • EP. 699『@甲賀 、其ノ三 - かんぴょうにはあけぼの茶』
    Oct 15 2026

    日本中、霧の湧くところにはお茶があります。甲賀市土山町は、なだらかな丘陵地帯に日が当たり、鈴鹿山脈から清らかな水が流れる土地。14世紀に京都・大徳寺から茶の種が運ばれ、江戸時代には「あけぼの茶」として東海道の名物になりました。丸く刈られた茶畑を眺めながらお茶をいただくと、何かひと口頬張りたくなります。そこで、かんぴょう巻き。甲賀市水口は、かんぴょう作りで知られる土地です。夕方に花を咲かせる夕顔には、大きく丸い実がなり、それを細く薄く剥いて干したものがかんぴょうになります。甘辛く煮て海苔巻きにすれば、片手でパクッと食べられるのもいいところ。土山のお茶に、水口のかんぴょう巻き。地味だからこそ、じわっと日本の食文化のありがたさが伝わってきます。

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  • EP. 698『@甲賀 、其ノ二 - 0.75倍速で頂く杉谷やさい』
    Oct 14 2026

    甲南町杉谷には、杉谷なすびという伝統野菜があります。丸なすの仲間、杉谷なすびは濃い紫色の皮がつやつやと光り、柔らかいのに実はぎゅっと詰まって煮崩れしにくい。焼いても揚げても、じんわりとした甘みが楽しめます。その美味しさを生むのが、粘土と砂が混じった杉谷独特の土です。最近、外国語は速く聞くより、0.75倍速ぐらいゆっくり聞くことで前後から意味を想像しやすくなるという話を聞きました。食事も同じかもしれません。甲賀の野菜をゆっくり噛んで味わえば、その風味や美味しさがもっと見えてくる。生活も少し速度を落としてみると、今まで気づかなかったものが見えてくるのかもしれません。

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